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 昨夜、ロシアから無事帰国しました。前回のコラムでお伝えした通り、過酷なスケジュールで森林伐採現場・製材所などを駆け回りました。舗装も劣悪で、半分以上は未舗装の悪路(それでも国道です)を時速100キロ以上で片道400キロ以上を突っ走るのは正直少し恐ろしかったです。しかしこんな経験は二度とないだろうという視察になりました。

実を言いますと、今回の視察はロシア政府の協力を一切受けず(ビザ発給以外は)に行われました。目的が森林の不法伐採・違法伐採、そして中国資本のロシア木材産業への侵食の度合いを調査することですから、そんなことをロシア政府にオフィシャルに申し入れても許可されるはずがありません。ですからウラジオストック在住のアナトリー・レベデフさん(環境NGO BROCK代表)に終日ご同行頂き、レベデフさんの人脈・ネットワークを頼りに調査・視察は行われました。正直「拘束されたりしないんだろうなぁ・・」と一抹の不安もありました。シベリア鉄道に満載された木材

中国へとシベリア鉄道に満載されて輸出される木材
(50両編成が2台)
を撮影していたときに、遠くから二人のロシア兵がすごい勢いでこちらに走ってきたときは、「これはヤバイ!!」と一同凍りつき、必死にカメラを隠しました。政府から25年契約で6万ヘクタールの森林の伐採権を取得しているA氏や製材工場の社長や責任者などに直接話しが聞けたことは大きな収穫でした。

ペレストロイカ以降、極東では農業・畜産業が急激に衰退してしまいました。

木造建ての現地集落
そして食べていけなくなった農民が、危険を冒してでも森林から不法に木を切り出すことしか道がないという厳しく悲しい現実があります。実際、山奥に森林労務者の集落がありましたが、マイナス30度を超える極寒の地で、とても寒さを凌げそうもない、木造の簡易で小さな家ばかりでした。

伐採現場
そこに急激な経済発展が進む中国資本が、場合によって州政府や警察組織・マフィアとも一体となって保護区であっても無許可であっても、どんどん切らせていると言うのです。あらゆる場面で賄賂が日常化し、司法でさえ「カネさえあれば何とでもなる」と平然と多くのロシア人が語るのです。ある人が「官僚や弁護士・警察官、ましてや政治家になろうと考えること自体、軽蔑されるべきことだ!」と吐き捨てるように言った言葉には絶句してしまいました。彼に言わせると「警察官になるのは、社会でも最底辺の人間だ」「実際、元マフィアの親分で、拘留中の現職市長がいる」というのです。デパートの売り子さんにリベートを払えば、優先的に欲しいものが手に入るといったケースもあり、「この国で袖の下は文化であって、庶民が生き残るための知恵とも言える」とまで言い切られてしまいました。不法伐採を取り仕切るには政府の関与が欠かせません。今も一年間の搬出量・樹種・個々の伐採許可手続きなどは行われていますが、上から下まで全部グルでは余りにも問題の根が深すぎます。

不法伐採現場とは断定できないが、混入している可能性もある。

超大型トレーラーで木材が運び出される
「このままでは数百年かかって育ったロシアのそして地球にとっても大切な森林資源が、中国の資本によって近い将来丸裸にされてしまうのではないですか?」との問いかけには、「私たちもそう思います」「しかし他にどうすればいいのでしょうか?」と目に涙を浮かべて応えたA氏の顔が忘れられません。そんな中でもアナトリー・レベデフさんのように身の危険を顧みず活動される方々の姿には、すごい感動を覚えました。

日本は現在、ロシア政府の所有する旧式の原子力潜水艦の解体事業に多額の援助を行っています。そのことと同じように、日本の林業のためにも、ロシア国民のためにも、ロシアの森林資源管理の為に日本政府が協力することがあるはずです。すでにインドネシア政府とは、違法伐採をなくす為のコンピューターシステムの導入が始まっています。貧困に苦しむ地域の人々も、中国にただ丸太を輸出するのではなく、域内で加工する産業が育てば少なからず救われるはずです。

ここでロシア国民の名誉の為に言っておきますが、多くの市民は善良でお人よし、人懐っこい人々です。その人柄についてのエピソードは次の機会に書くつもりです。まだまだご報告したいことが多くありますが、今日のところはざっと4日間の旅を振り返り感想を書きました。視察内容のもっと詳しい内容については早急に整理した上でホームページ上に公開しますので、是非ご覧ください。



                        11月19日  江藤 拓










 11月7日(水)18:00より虎ノ門パストラル葵の間において「江藤拓希望ある未来を拓く政経セミナー」を開催させていただきました。
大変多くの方にご参加賜りました。有難うございました。


伊吹文明自民党幹事長

谷津義男先生

亀井静香先生

平沼赳夫先生

清本鐵工 清本英男社長

河村健夫先生より乾杯のご発声

石破茂防衛大臣

逢沢一郎先生

中曽根弘文先生

渡辺喜美先生










 このところずっと取り組んできた「今後の米政策、品目横断的経営安定対策」の抜本的見直しについての中間取りまとめ作業がようやく終わりました。難しい仕事をやり終えた充実感を感じています。「小規模の農家が切り捨てられるのではないか?」という農家の不安・不信に応えうる内容になったものと思っています。補助対象の農家が最低4ヘクタール以上(農地の少ない地域では2.6ヘクタール)以上でなければならない要件は、宮崎県の様な中山間地の多い地域ではクリアするのは容易ではないものでした。面積要件を満たしていなくても知事が特認する制度はあるものの、全国で未だに1件も特認例がありません。そこで私は、特認の権限を県から市町村に委譲することを強く主張し続けてきました。それは田舎の意識として近くの役場は気軽に作業着のままでも相談に行けても、県庁の敷居は県庁職員の方々が思っている以上に高いからです。それに何より市町村長は地域の実情に一番精通しており、それに地区の農協組織や農業委員の皆さんが協力してくれれば、地域の実情にあった納得いくものに出来ると考えるからです。また地元の水田協議会で認めた場合も認定するべきでしょう。とにかく地域の実情に即し、より参加しやすくすることだと考えます。加えて手続きの簡素化は当然のことです。とても詳細まで書ききれないので、ご質問・ご意見等あればどうぞ国会事務所までご連絡ください。

米の消費が年々減り続け余剰米が発生し、今回は34万トン政府が買い入れる緊急対策を行ないましたが、やはり需給のバランスをとることはどうしても必要です。それには転作をしてもらわなくてはなりませんが、宮崎の気候は、麦や大豆の生産には不向きです。そこで畜産県である宮崎においては、飼料用の米やバイオエタノール米を転作作物とすることが有効であることを主張してきました。飼料用の米やバイオエタノール米は「新規需要米」制度に大括りして、分かりやすく、使いやすい仕組みとすることになりました。新しく奨励金制度を設けることで検討しています。近年、畜産農家は飼料価格の高騰に苦しんでおり、その対策としても、耕作放棄地の解消にも有効なはずです。宮崎は温暖な気候を生かして多収穫米を二期作にすることも可能です。これらのことが「絵に描いたもち」にならないためには、月末から始まるであろう補正予算の獲得に何が何でもこぎつけなければなりません。

私は現在自民党の農林部会の部会長代理・衆議院の農林水産委員会の理事を務めているのでどうしても農林水産関係の事が多くなってしまいますが、食料の問題は日本国民全ての問題です。「攻めの農業」という視点も一理ありますが、輸出向けの農産物を生産できる地域や農家は本当に限られています。農業とは本来ドメスティックなもので、まずは自給率の向上と農家所得の安定こそが目指すべき方向です。世界では既に食料の国内囲い込みの動きさえ出てきています。カネさえ払えば、「食べたいものを・いつでも・欲しいだけ」手に入る時代はいつまでも続くはずはありません。今回の見直しも「衆議院選挙対策だ」という批判が既にマスコミに多く見られますが、確かに参議院選挙後加速しましたが、この見直しの必要性は参議院選挙前から党内に少なからずあったものです。国民の声に真摯に耳を傾け、こだわりを捨てて見直しを行う姿勢は少なくとも批判されるようなものではありません。

ところで明日からロシア極東・シベリアに自民党の派遣で不法森林伐採の調査団の副団長として3泊4日で行ってきます。気温はマイナス20度、ウラジオストックから目的地まで車で10時間近くかかるなど、とんでもない強行スケジュールです。世界的に不法伐採は地球温暖化の問題にも直結し、世界の木材価格の動向に大きな影響を与え、日本国内の林業にも悪影響をもたらします。生態学上も貴重なシベリアの森林の実態をしっかり見て、このコラムでもご報告する予定です。



                          11月15日  江藤 拓 












 この数日の騒動はいったい何なのでしょうか。民主党の小沢代表は本日午後に、両院議員懇談会の場で辞意を撤回し、続投する意向を正式表明するのだそうです。報道等によれば「小沢氏は参議院でのキャスティングボードを握れる17名の引き抜きを狙ったが、14名しか読めなかったので戻るしかなかった」とか、「初めからシナリオが出来ていたのだ」など様々な解説がなされています。鳩山幹事長は記者団の質問に対して、「安堵している」と語ったとのことですが、その理由は何なのでしょうか。執行部が慰留する理由が、民主党の党首として小沢氏以上の人物はいないと認めた上でのことなのでしょうか。私には「党を割って出られたら困る」という本音が透けて見えてなりません。

民主党と自民党は政権を競い合うライバル関係にある訳ですが、委員会等を通じた論戦の中でお互いを認め合う瞬間は当然あります。党は違っても政治家としての根本理念や思想が合致する友人も、民主党内にも少なからずいます。彼ら若い民主党議員は、野党としての悲哀を味わいながら「必ず政権を奪取するぞ!」という意気に燃えて夢を持って努力してきました。それをよりによって党首から「政権担当能力がない」「総選挙でも勝てる見込みはない」と断じられてはやり切れない気持ちでしょう。親しい民主党同期の友人に、国会内ですれ違いざまに「いろいろお互い大変だな」と声をかけてみましたが、「ご迷惑をかけます」と自嘲気味に答えるのが精一杯という感じでした。法案の立案、与野党の論戦など最前線で活躍してきた彼だけに、悔しい思いも人一倍でしょう。思い返せば安倍総理が突然の辞意を表明した時に、同じような怒りと脱力感を覚えたことを思い出します。自民党は福田総裁へと変わりましたが、民主党は元の体制のまま進む事になる訳で今後どうなるのでしょうか。

自民・民主両党とも会期末を目前にして、国家・国民の為の国会運営とはどのようなものなのか、今こそ胸襟を開いて知恵を出し合わねばなりません。




                          11月7日  江藤 拓











 2日に行われた福田首相と小沢民主党代表との会談から始まった大連立政権構想は、突然に出てきて、そして余りにもあっさり頓挫しました。小沢代表の「民主党はまだまだ未熟だ」という発言や「総選挙を行っても政権奪取は困難だ」との発言については、民主党所属議員はどのように受け止めたのでしょうか。安部総理の突然の辞任以来の政治の激動は想像を絶しています。国民の皆様の目にはどの様に映るのか心配です。「民主党は大チョンボだ」「これで解散に追い込まれることも当分無いだろう」と自民サイドとしてほくそ笑んでいるとしたら大間違いでしょう。近頃の傾向として有権者の目が政治に向いていた流れに水を注す事にならねばいいのですが・・・。

変化の兆しは第一回目の会談意向、明らかに現れていました。とにかく強硬な対決姿勢で、各委員会の審議日程さえ容易に決められなかったのが、会談翌日から突然円滑に動きだしたのです。そして先週の金曜日の衆議院本会議には3本の法律に加え2本の法律が緊急上程され衆議院を通過しました。のろのろ運転から突然5速にシフトアップしたような感じです。会期末まであとわずかなのですから、与党サイドとしては歓迎すべき民主党の変化なのですが、「これは何かあるぞ」「何か大事がこれから起こるのではないか」と感じていました。

私はこのコラムでも何度「ガチンコ」という言葉を使ったでしょうか。健全な二大政党制についても望ましいことだと主張してきました。今、自民党がすべきことは、先の参議院選挙での国民の厳しい民意を受け止め、政策を通じて国民の信頼を再び獲得するための努力です。そのためには民意に沿った政策転換も当然必要でしょう。与野党の政策を国民の前に示した上で、自民・民主どちらに政権担当能力があるのかを国会論戦を通じて競い合い、国民の皆様に判断していただく絶好の機会であるとの思いから、緊張感を持って精一杯の努力をしてきました。ですから今回の大連立構想の第一報を聞いたときには本当にビックリしましたし、力が抜けるような感覚を覚えました。ゴングがなってコーナーを元気よく飛び出したとたんに、「はい コーナーに戻って」と言われたような感じです。

しかし結果として、あっさり小沢代表の党内取りまとめは失敗し、与党から差し伸べた手は民主党から撥ね退けられた格好になりました。共に政権運営をしようという自民サイドの申し出を袖にした訳ですから、民主党は前以上の対決姿勢で臨まねば筋が通らないでしょう。それこそ私としては望むところです!国民の皆さんもそれを望んでいると私は思います。これからも民主党の分裂も含んだ小沢氏の動きに大いに世間の注目が集まるのでしょうが、「権謀述作」は上の人に任せて、我々最前線の兵隊は目前の幾多の政策課題にひたすら突撃するのみです。


                         11月5日  江藤 拓









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