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 統一地方選挙が終わり数日が経ちました。私の選挙区では市議選が2ヶ所、町議選が4ヶ所、村議選が3ヶ所、そして町村長選が3ヶ所ほぼ同時に行われ各地で激戦が繰り広げられました。国会会期中ですので全ての選挙事務所にお伺いすることが出来ず、日頃お世話になっている候補の方々には申し訳なく思っています。私が行けなかった残りの地区には妻の順子が行ってくれたのですが、後で報告を聞くと「代議士より順子さんの方が良いくらいじゃ」との評判も少なからずあるようでした。そういえば私が行った地区でも「今日は順子さんは一緒じゃないとね」とたびたび聞かれました。有り難いことだと思いながらも、「これは益々女房に頭があがらんなぁ」と思うばかりです。

市町村合併後の初めての選挙であり、定数の大幅削減がおこなわれた上で行われた今回の統一地方選挙は、全く予想外の結果も随所に見られました。振り返ってみて選挙の恐ろしさ・残酷さを改めてつくづく実感させられます。今回は若く有望な新人が多く出馬したこともありますが、選挙の結果を見ると、必ずしも誠実に職務を果たし実績のある候補が選挙に強い訳ではないことを思い知らされます。

ある候補の落選が確定したその夜、支持者が集まった公民館で、「全て私が悪い、油断しました、申し訳ありません」と深々と頭を下げる姿に胸が締め付けられる思いがしました。そしてしばらくしてから、「俺は市民の為に本当にこれまで一生懸命働いてきたんじゃけど・・・」とぽつりと私に言った言葉が忘れられません。

この私も2回の選挙を戦い、対立候補を破ったからこそ衆議院議員でいられます。相手を蹴落とし、生き残ることは政治家を志した以上当たり前のことかもしれませんが、私の勝利の裏側には様々な事があったであろう事を思うと複雑な気持ちです。
政治家とは他人の「夢」を食べねば生きられない「獏」のようなものなのでしょうか。そうであるとすればその食べた「夢」や「思い」も自分の中にとりこんで、歩んでいこうと思っています。


                          4月13日  江藤 拓











 国民投票法案が衆議院をついに通過しました。1947年の憲法施行から約60年間放置されてきた不条理がようやく解消されることになります。憲法の96条には憲法改正条項があるにもかかわらず、国民投票の方法など改正の具体的な手続きを定める法律が無かったのは憲法の精神に反していた訳で、強権的でも何でもなく法律を憲法に沿って成立させたにすぎません。私の親しい民主党の若手も本心では当然のことと思っています。この議論は7年間の長きにわたり「丁寧に」「慎重に」進められてきました。各政党広く理解が得られることが今法案においては望ましかったことは事実ですが、いつまでも結論の得られない議論は空虚なものです。
この法案の狙いは初めから「憲法9条第2項を変えることだ」との批判もありますが、憲法9条第2項を変えることになる場合は、あくまでも多くの国民の同意が得られた時のことであって、法案成立したからといって、政府が強引に国民の意思を無視して突っ走る事などないのです。投票率の過半数では駄目だとする指摘は分からないでもありませんが、国民に対する説明・啓蒙こそ政治の責任ではないでしょうか。ましてや憲法9条第2項が議題となった場合、マスコミも連日取り上げるでしょうし、低い投票率になるとは考えられません。国の将来を左右する重大な案件において、国民が直接民主主義の権利を得ることは望ましいことですし、政治に対する関心を呼び覚ますきっかけにもなることでしょう。
Ps.平沼赳夫先生が驚異的なスピードで回復されました!!本格的な再起動まであと僅かです!!こんなに嬉しいことはありません!!多くの先生を尊敬し慕う同士が、本会議場での再会を心待ちにしています!!


                          4月13日  江藤 拓












 農業大国・米国と韓国が一年二ヶ月というスピードで、自由貿易協定(FTA)を締結することで合意に至りました。問題の農業部門では、コメこそ自由化対象から除外されたものの牛肉関税は15年以内に撤廃、豚肉も十年で関税を撤廃します。BSEに関わる米国産牛肉については、国際獣疫事務局(OIE)が認定すれば、検疫手続きの見直しに入ることを約束しました。オレンジの関税は季節関税を導入することになっていますが、七年後にはこれも撤廃です。私にとってこれらの合意の内容は衝撃的です。

WTOでは農産物の市場開放には重要品目を守るという立場をとる同じグループにあるはずの韓国の決断は、国内外に大きなインパクトがあるのは当然です。今月末には豪州との交渉が始まるこのタイミングも問題です。農水省・経産省もそれぞれの思惑があり複雑です。

日米間のFTA交渉については、政治日程にはまだ乗っておらず、経済財政諮問会議が提言したにすぎませんが、安倍総理も今回の合意を受けて「将来の課題として考えなければいけない」と述べました。日韓のFTA交渉はマグロの問題に小泉前総理の靖国神社参拝が重なり、険悪な雰囲気の中で決裂したままですが、仕切り直しを迫られることでしょう。

盧武鉉大統領は「農産物の輸入増で農家の所得に打撃があった場合は、所得保障する」とし、「職を失った場合には国家が責任を持つ」との事ですが、これは容易なことではありません。議会での承認も農産品はもちろん、自動車部門での譲歩への不満もあり、難航が必至です。米国サイドから見れば農産物に切り込み、「モノ」の関税については100%撤廃されるのですから万々歳かと思いきや、議会で主導権を握る民主党は「譲歩しすぎた」と批判しています。上院財政委員会のマックス・ボーカス委員長は「韓国は即座に牛肉市場を開放することが必要だ」との声明を発表した。この内容でも議会の承認は微妙だとは、なんとも米国はどこまでも強欲です。日本に対する牛肉輸入完全開放の圧力も更に強まるでししょう。

 「日本のFTA・WTO交渉の障害は農業問題だ!」といつも言われます。ある全国紙は「さあ、次は日本の番だ」と農産物の自由化を渋るのは国益に反すると主張していました。韓国の自動車産業は今回のFTAが実現すれば、日本車には2.5%の関税が掛かるのに対しゼロ関税ですから更に競争力を増すでしょう。家電メーカーについても同じです。貿易立国日本の立場は私も分かっています。

それでも私はこのコラムでも書いた通り、安倍総理に直接、日豪EPA・FTAについては国内の農業に大打撃を与える危険性を訴えました。具体的に言えば、豪州からの主要4品目(牛肉、乳製品、小麦、砂糖)の関税が撤廃されると、牛肉と乳製品は生産が半減し、小麦・砂糖に至っては全滅すると予想され、上記4品目への直接的影響は7900億円も減少すると試算されています。

最近では「国内農業を守らねばならない!」と主張すると、国際感覚の無い田舎政治家が選挙区事情から吼えていると見られがちです。それはそれで別に気にしませんが、そんな矮小な考えでWTO・FTA・EPAに対して慎重な態度をとっている訳ではありません。

日本の食糧自給率は先進国で最低です。主要先進国のそれぞれの自給率は、日本が40%であるのに対し、イギリス74%、ドイツ91%、フランス130%、アメリカ119%であり、経済立国だから自給率が低いのは致し方ないという理屈は通りません。現在世界の人口は約65億人です。その内飢餓人口は8億人であり、世界の8人に1人が餓えに苦しんでおります。また世界の耕地面積は過度の放牧、森林の過伐などにより、年間約500万ha以上の農地(我が国の全耕地面積とほぼ同じ)が砂漠化しており、今後耕地面積を増加させることは不可能に近い状況です。人口増加は26年後の2042年には約82億人にもなると予想されており、食糧難の時代がいづれ訪れることは避けられない現状です。穀物価格は昨年末から高騰し、とうもろこし国際価格はシカゴ相場で1ブッシェル2ドルから4ドルまで跳ね上がりトン当たり配合飼料価格は5,500円も値上がりしました。

人間はまずは「食べること」が一番です。お金さえ出せばいつでもどこからでも食料が調達できる時代がこれからも続く保障がどこにあるのでしょうか!?
「百年兵を養うは一日にこれを用いんがため」といいます。私は国内の食料自給率を高め、国内農業を守ることは同じことだと考えます。盧武鉉大統領のいう所得保障では短期には効果があっても、後継者は育たず国内農業は衰退するでしょう。どんな産業でも一番大切なのは、そこに夢を持って頑張る「人」なのです。


                          4月5日  江藤 拓






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