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 −−−国土交通委員会−−−           平成16年5月21日開催
 議題『不動産取引の円滑化のための地下公示法及び不動産の鑑定評価に関する法律の一部を改正する
    法律案』
○赤羽一嘉委員長
  これより質疑に入ります。
  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。
○江藤拓代議士
 自由民主党の江藤拓でございます。
 それでは、まず最初に、地価公示価格改定について御質問いたします。
 日本経済は、土地神話の崩壊とともに、長い長い大不況のトンネルの中にずっとあったわけでありますけれども、ようやく最近になりまして、この不況からの脱出ができるような、そういうめどが立ってきたというふうに聞いております。
 内閣府が発表したGDP速報についても、前年度比GDPで一・四%増ということでありますから、これは年率五・六%ということであります。私のような田舎者は、そういう実感が全くないわけでありまして、正直申しまして、これは日本のことなのかな、中国の数字の間違いじゃないかなと思ったりするようなのが正直な実感であります。
 ともあれ、二〇〇三年度の成長率はこれで三・二%ということで、大変結構なことでありますけれども、これは、ITブームがありました二〇〇〇年のあの水準を超えるということで、九六年以来の高水準ということであります。
 三月に公示されました平成十六年の地価公示につきましても、東京や、また地方の札幌や名古屋など、一部の大都市圏では下げどまりの傾向が強まっている。国土交通省も、地価の動向には変化の兆しが見られているというふうに判断をされているようであります。
 一方、地方では、私の宮崎・延岡なんかもそうなんですけれども、商店街はどんどんシャッターが閉まってしまいましてシャッター通りと化し、そして住宅地は、地方においてはいまだに地価公示価格、これは下落傾向の幅が広がる一方であります。
 何とか都会の景気回復のこの波を地方にも呼び込みたいものだというふうに強く願うものでありますけれども、今回の法改正が、地方の土地取引の活性化、そして地価の下げどまりに大いに資するものであってほしいものだというふうに思っております。
 今回の改正でのポイントは、その方法論というわけではなくて、地価公示の対象を都市計画区域外にも広げるということが一つの大きなポイントだと思いますけれども、これが果たして具体的にどのように経済効果的な面で効果が見込まれるのか。それがまた、特に地方都市におきまして、どのような地価下げどまりの効果を生むことが期待できるのか。このことについて大臣から御所見をお伺いしたいと思います。
○石原伸晃国土交通大臣
  ことしの地価公示を見ますと、東京の都心等で地価動向の変化の兆しが見られますし、大阪を除きまして、地方都市等々でも下げどまり感が非常に強まってきたと思っております。こういう動きを確実にいたしまして、ただいま委員が御指摘のとおり、地方も含めまして、資産デフレを克服するために、国民の皆さん方の生活や企業活動に不可欠な土地という資産について、税制を含めまして、今後の政策のあり方をそろそろ再構築すべきときに来ていると私は常々思っております。
 土地基本法を制定して十年たちまして、その中で資産デフレを経験し、多くの国民の皆様方が所有される資産というものの価値を減らしてきた。これまでどういう政策を打ってきたかということでございますけれども、当たり前のことですが、土地への需要の拡大と土地市場の効率化の両面から実は施策を展開してきたわけでございます。
 そんな中で、北は稚内から南は石垣まで、各土地の都市再生あるいは地域の再生、まちづくりへの取り組みの支援、あるいは住宅ローン減税等々の住宅税制、あるいは取引や土地利用にかかわる、午前中の御審議でもいただきましたような規制の緩和、さらには不動産の証券化という新しい手法による流動化等々に取り組んできたところでございます。
 中長期的な視点に立ちまして、これからそろそろ土地税制についても議論を深めてまいりたい。そんなとき、この法律案を提示させていただきまして、公示地価を広い範囲で見ていっていただく、地方部での不動産取引の信頼性を高め、さらに不動産取引の一層の円滑化が図られると考えているところでございます。
○江藤拓代議士
 ありがとうございました。
 ほかの施策とあわせて、まちづくり交付金その他も使いながら、ぜひ地方のことにも目を向けていただきたいということをお願いします。
 それでは、少し具体的なことについてお教えをいただきたいことがありますので、よろしくお願いいたします。
 最近、マスコミ等の論調を見ていますと、地価公示価格そのもの自体が実体経済を全く反映していない、そういうものはむだじゃないかというような議論も幾らか見られるようなこともあります。しかしながら、私としては、やはり買い急ぐ人も売り急ぐ人も関係ない、いわゆるニュートラルな立場で公的な機関が取引のある程度の水準を公的に示すということは非常に有効なことだろうというふうに思っています。
 特に田舎におきましては、取引の事例が非常に少ないということであります。当然、不動産鑑定士の皆さん方が実際の業務をやる上で、取引のデータをもとに公示価格を算定するわけでありますけれども、地方については数が少ないわけでありますから、これは多少のでこぼこがあっても、また地方においては特に仕方がない、そういうふうに私は思っております。
 今回ちょっとお伺いしたいのは、インターチェンジ周辺についてもこの公示価格の対象として標準地を新しく設定しようということもお考えだというふうに聞いておりますけれども、私の田舎の宮崎県は、これから高速道路ができます。もう大体インターチェンジの場所も決まり、大体いつごろには供用開始できるか、そういう見込みも立っております。
 そういう場合には、当然、先行的にその土地を取得したいという人も出てきますでしょうし、インターチェンジができればそこの土地は、農地といえども、また農地法の三条によって転用許可がおりればですけれども、これまた影響を受けてくるわけですから、このことについて将来的なことを見越した上で、この標準地、将来の公共事業によって値上がりが見込まれる場所、例えば私の日向なんかもそうなんですけれども、今、鉄道高架事業をやっています。今までは、海側は土地は値段が高い、しかし、鉄道からこっち側はやっぱり安いわけですね。高架されればそういうことも是正されるわけですから、そうなると、極めて明らかに近未来的にその資産の価値が平準化されるということであれば、行政として前もってそこら辺に手を入れるのか、それともやはり、実体経済だから、実体経済の上で取引がなされた上でそういうことをするのか、局長から御答弁をお願いします。
○伊藤鎭樹政府参考人(国土交通省土地・水資源局長)
 お答え申し上げます。
 今回の改正で、都市計画区域内外を通じて土地取引が相当程度見込まれる地域に公示地点を置くことができるように措置するわけでございますが、その配置につきましては、一方で、具体的な公示地点の設定ということにつきましては、データの継続性とかそういうこともありますし、また、土地の利用状況が安定している地域に置くということを原則といたしておりますので、今委員お尋ねの公共事業計画段階のものについて、どの時点で、どのタイミングで地価公示の標準地を置くかということは、先ほど申し上げましたようなデータの継続性あるいは利用状況等を総合的に判断して考えていくということになると思っております、一般論的な答えになって申しわけございませんが。
○江藤拓代議士 
 それでは、供用を開始されて実際にディーリングが行われてからということでよろしいですね。もううなずいてくれれば結構です、時間がないので。
○伊藤政府参考人
  ちょっと持って回った言い方になって大変申しわけないわけでございますが、土地取引が相当程度行われ、あるいは行われる見込みがある区域というのを対象にするということでございますので、必ずしも供用開始後ということではございませんが、まずはこの要件に該当するような状況をにらみながら設定していくということでございます。
 以上でございます。
○江藤拓代議士
 もう御答弁は求めませんけれども、この間の近藤総裁の御答弁の中でも、やはり道路公団民営化の中で、インターチェンジの周りにいろいろショッピングエリアとかそういうものを総合的に開発をして、そしてそこで収益を得るということであれば、宮崎なんか、みんな農地ですよ、インターチェンジの周りは。農地転用して、そしてやることになるんでしょうけれども、そのときになって慌てないようなお考えをぜひ前もって考えていただきたいと思う。御答弁は結構であります。
 では、次に、二十分しかありませんので、地価公示価格は国の制度、これはもう当たり前のことでありますけれども、具体的な業務はこれは不動産鑑定士の皆さん方がやっているわけでありまして、この間伺った話によりますと、資格オタクと言われるような方々を除けば、大体二人に一人の人が公示価格の算定に携わっていらっしゃるということであります。
 この公示価格というのは大変実は大事で、公的には課税評価、固定資産税であるとか相続税であるとか、それの算定の基準となっていく数字でありますので、これは公的な要素が非常に強い。それでまた、公用地の収得のときの、そのときの値段であるとか補償金であるとか、そういうものもこれによって決まるということであれば、これから不動産鑑定士の皆さん方が担っていく役割、これはもう、半分、民と官の間に立って、大変大きな役割を果たされていくことになると思います。そういう意味では、公平性の確保とか説明責任を果たすということもまた大事になってくるということはもちろん言うまでもないことだと思っています。
 また、今回の改正の中では、不動産鑑定士の業務を、不動産の鑑定評価、そういうもので今までは一応法律上は限定されておったわけでありますけれども、これを今度は、市場の調査とか分析、そして総合的なプロジェクトのコンサルティング、そういう方向にまで広げていく、これを法律上追加する、業務上追加するということになっています。
 しかし、よく話を聞いてみますと、現実にはこのような業務は、不動産鑑定士の皆さん方はもうやっている。また、もっと言えば、ほかの業態の人たち、宅建の人とかいろいろな資格を持った人たちが、時には行政書士もそうかもしれません、こういうことを実際やっているわけですね。
 そういう状況の中にあって、こういう任意の業務を含めて法律の中にかちっと位置づけなきゃならない、それはどうしてかということと、その目的、そこを局長の方からお聞かせいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人
  お答え申し上げます。
 今般新たに位置づける業務につきましては、不動産鑑定士等がその専門性を生かすことができるものでございます。委員御指摘のように、これまでも、いわゆる任意業務として、不動産鑑定士等がその名称を用いて行っているものでございます。
 また、その業務量は、私どもの持っておるデータでいきますと、不動産鑑定士等の本来の業務である不動産鑑定評価の業務に匹敵するような量の実績がございます。
 しかしながら、現在の不動産鑑定評価法には、これらのいわゆる任意業務につきまして何ら位置づけがございませんので、守秘義務の規定でございますとか監督の規定というものがこれらについては及ばないということになっているわけでございます。
 しかし、依頼者の立場で見ますと、依頼者は、これが本来業務であるか任意業務であるかということで不動産鑑定士に依頼するというよりは、不動産鑑定士という資格を信頼して相談するものでございますので、これらの業務についても、その信用を確保するということが重要な課題であったわけでございます。
 このため、今般の改正によりまして、これらのいわゆる任意業務につきまして、法律上の位置づけを明確にし、守秘義務や監督の規定を及ぼすことで、不動産鑑定士等の名称を用いて行う業務全般についての信頼性の確保を図ろうとするものでございます。
 以上でございます。
○江藤拓代議士
 ありがとうございました。
 ありていに言えば、不動産鑑定士の方々の仕事の内容が依頼者にわかりやすく、そしてまた国からも、守秘義務を課したり、そういうある程度縛りをきちっとかけるという理解でよろしいですか。――よろしいということですので、では、続けさせていただきます。
 不動産鑑定士の任務は、限りある土地、土地というものは有限でありますので、さまざまなポテンシャルを秘めているわけであります。そういう有価財を有効に活用するのが、まさに今回新たに業務を拡大されてコンサルティング業務をやるということであれば、不動産鑑定士の皆さん方の双肩にかかっているというふうに思うわけでありますけれども、どうもこの間ちょっとお役所の方のブリーフィングを聞いたところによりますと、ほとんどの方々が独立されていて、従業員は一人か二人というような業態のところがほとんどだというような御説明をいただきました。
 しかし、我々は、この委員会におきまして、景観三法ということで、トータルとしてのまちづくりであるとか、そういうものについて、皆さん方と一緒にずっと議論を重ねてまいりました。そういうことであれば、土地は単体に利用するということではなくて、ある程度まとまったスケールで、全体としての調和をとりながら土地の有効活用ということを考えていくということがますますこれからは重要になってくるものだと思います。
 そうなってきますと、プロジェクトはどんどん巨大化していく。そして、そうなれば、もしかしたら、不動産鑑定士さんが今持っておられる知識や能力、それを超える部分、例えばランドスケープであるとか、そういうもっと広い見地に立った知識が必要になってくるかもしれない。
 今回、きちっと法律で、また、今も御指摘あったように、改定されて、位置づけられるわけですから、このような零細な業態が多い業界の中にあって、本当に、大規模化や業務の複雑化に時代のニーズに合った形できちっと対応していけるものなのかどうか、ちょっと自分としては不安だなということを思いますが、御所見を局長の方からお願いいたします。
○伊藤政府参考人
  今回位置づける業務を中心にいたしまして、不動産の評価の専門能力が生かせるそういうニーズといたしまして、今後とも伸びが見込まれる分野といたしましては、今、不動産証券化あるいは減損会計の導入等を背景としたそういう不動産の評価、あるいは、土壌汚染地の評価等、他の専門分野の協力を必要とするそういうような評価、あるいは、物件や市場の調査、不動産の評価をきっかけとして、不動産の利活用、投資等について相談を受け、アドバイスを行うことなどが考えられるわけでございます。
 こういう業務を行っていきますには、例えば、土壌汚染地を評価するには、地質調査会社等の他の専門家との連携も必要になります。それからまた、減損会計でございますとか不動産証券化というような話になりますと、大量の不動産を迅速に評価するための体制というものも要るわけでございますし、そういう意味で、個人事務所による対応には限界があるということも御指摘のとおりでございます。
 このような観点から、先般、さきの国土審議会の不動産鑑定評価部会におきましても、不動産鑑定業界の現状を踏まえて、同業あるいは他業種との協同、連携を図ることが今後の一つの方向との御提言もいただいたところでございます。
 私どもといたしましては、今回の法改正を一つの契機といたしまして、不動産鑑定評価部会の提言について、業界でも真摯に受けとめていただいて、業務体制の整備のための取り組みが進み、不動産鑑定業界が社会から期待される、そういう役割を果たしていくということを期待しているところでございます。
 以上でございます。
○江藤拓代議士
 ありがとうございました。
 ADR法とかいろいろあるわけですから、いろいろな業界の相互参入、協力によって、よりよいまちづくり、不動産の有効活用が図られるように、御指導の方よろしくお願いします。
 時間がなくなりましたので急ぎ足になりますけれども、最後に、不動産鑑定評価法の改正のもう一つのポイントは、試験制度の改正にあるということはもう言うまでもないわけであります。
 国では大きな改革が今先行して進んでいまして、御存じのように、近年の司法試験の合格者、千人程度ですけれども、二十二年にはこれを三千人、三倍にしよう。会計士の試験なんかでいくと、これを五万人規模に全体の数字として拡大しよう、合格者にしても六倍にふやそうというような流れが全体としてあります。しかし、数が必要であることも、これは重要なことかもしれませんけれども、質の確保、これが何といっても一番重要なことだと思います。
 今回の法改正を見させていただきますと、今までは、一回、一次試験に通りまして、不動産鑑定士補になって、それから現実に資格をいただくまで全体で四年もかかってしまう。大変長い時間を要するということで、これが、ある意味、この業界を目指す人を減らしていた。また、その間、非常に身分も不確実で、また、収入も不安定だ、時間もかかる。
 そういうことをかんがみた上で、頑張れば一年三カ月で不動産鑑定士という最終的な資格まで到達できるというこの改正自体は、私は非常にいい改正だと高く評価するものであります。ありますが、実務経験というものが、ほかの資格と違って、不動産鑑定では物すごく大事だということは、私なんかが言うまでもないことだと思います。
 今回、その実務経験というものが、若干軽視されているんじゃないか。この要件が省かれているということにつきましては、やはり、依頼者の方々、そして、業界の方々も少し不安を感じていらっしゃる部分があるのではないかと思いますが、このことについて、御所見を局長からお願いいたします。
○伊藤政府参考人
 今回の改正によりまして、不動産鑑定士の制度につきましては、実務経験の要件というのを外すわけでございます。
 その理由でございますが、私ども、いろいろと今現行の旧体制での実務補習をやっている不動産鑑定士の卵の方々とか、そういう方々の意見なんかも率直に聞いておりますと、それから、やはり実務経験ということでございますが、それぞれが二年間に体験する実務内容に差がありますといいますか、ばらつきがございまして、その結果、実際の実務補習を行う段階でカリキュラムの適切なレベル設定が難しいというような問題もございました。それで、そんなことが原因で、現行の実務補習が必ずしも期待する機能を果たせていないとの問題点も指摘されているところでございます。
 このような実情を踏まえまして、今回の改正では、まず、専門的学識とその応用能力を確認する試験を短答式、論文式の二段階で行う。それで、この二段階で行うことによって資質のある方々を的確に選抜する。その上で、新たに、従来の実務補習を実務修習という形に再編整理するということにしております。そして、この実務修習につきましては、実地演習を大幅に拡充することによりまして、実務能力の修得課程というものを強化するということにしております。そして、その強化された形で実務修習を修了した方については、修了の状況について、最終的に国土交通大臣が確認して資格を付与する、そういう制度にしたところでございます。
 そういうことでございますので、不動産鑑定士に求められる実務能力の維持向上ということについては、むしろ、体系的といいますか、短期集中養成型、そういう形で実際に確保できるというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
○江藤拓代議士
  時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。


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