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衆-農林水産委員会-6号 平成19年12月19日

○江藤委員 自由民主党の宮崎県選出、江藤拓でございます。平野先生、よろしくお願いいたします。
 きょうは、私に質問の時間をあてがっていただきまして、まことにありがとうございます。この法案の質疑に当たりまして、私の姿勢をまず申し上げたいと思います。
 今はねじれ国会ですから、やはり民主党さんの主張にも十分に耳を傾けなければいけない、学ぶべき点は学ばなければならない、取り入れるべき点は取り入れなければいけない、そういう姿勢で私は考えております。
 私は、実は災害対策特別委員会の理事も務めております。この委員会では、与党からも野党からも法案が提出されました。対決法案です。しかし、結局のところ、両案を引き下げて、野党も与党案のいいところを理解する、与党も野党案のいいところをとる、そして委員長提出という形でいい法案ができました。はるかに使い勝手のいい法律、そして被災者の方々にも喜んでいただける法律ができたと自負しております。
 そして、この委員会でも、この間の有害鳥獣、有害という部分は諸般の事情によってなくなってはしまいましたけれども、結局は委員長提出という形で、農家が非常に困っているもので、本当に大変なんですよ。田舎に行きますと、猿なんかは、食べるならまだしも、遊びでシイタケをばらばらっと落としていく。そして、スイートコーンとか露地野菜なんかを、ちょうど熟れごろ、食べごろだなというところになると、先手を打ってシカや猿やイノシシが食べてしまう。そういうことも御理解をいただいて、この間この委員会で、また全会一致でこれは承認をいただきました。大変ありがたいことです。
 そういうことに学びまして、私はこういう性格ですけれども、けんか腰ではいかぬ、まずは心を開いて、皆さん方の言うことにも十分耳を傾けようという姿勢で臨んでおったのでございますが、ここからが私でございます、残念ながら、十二日のこの衆議院での審議が始まりまして、あの日以来、この法案に対する疑念それから不信、そういったものはどんどん深くなってしまっております。
 そして、やはりこの法案の背景にあるのは農産物の完全自由化なんだろうということを私は今も強く感じております。このことについて提案者に御答弁を求めると、あなたたちは、この前と同じように、自民党は何が何でも民主党を自由化論者に仕立て上げたいんだろうというふうに厳しい御叱正を賜ることはわかっておりますので、このことについてはお答えは求めません。もう結構でございます。
 私が聞きたいのは、この法案がどのようにして民主党の中を通過してきたか、その手続を私は知りたいのでございます。
 議員立法でありましたら、私たち、議員立法をやりますよ、当然、平場でがんがん議論します。平場の承認を得るのもなかなか大変です。平場で承認を受けて部会が通っても、その後、政審に通ります。政審で通ったら、その後は総務会です。総務会というのは、当然党の最高意思決定機関、これはいわゆる党大会にかわるものですから、ここを通過したものは当然党の総裁も了解したものということで、その手続をきちっと経た上で法案はすべて国会に提出をされます。
 ところが、私はこの委員会の質疑を聞いていて、一番面妖だな、不思議だな、理解できないなと思うのは、小沢党首は堂々と、自由化だということをいろいろな場面でおっしゃる、後で具体的なものをちょっとお示しいたしますけれども。しかし、提案者にお諮りをすると、我々は一言も、一遍も自由化を前提としているなんということは言っていないというふうに言われるわけなんですよ。
 一体どのような手続を経て、自民党とはちょっと違うシステムなのか、その辺のことを、ねじれ国会ですから今後のこともあります、勉強のためにぜひ教えていただきたいと思います。

○平野参議院議員 まず、今の御質問は、法案制定に向けての民主党内の手続ということだったと思いますが、部門会議というのがございまして、これは政調の一つの機関というふうに思っていただければいいんですが、部門会議のトップはここにおられる筒井ネクスト農林大臣でありますが、部門会議でこれを徹底的に審議いたします。
 その審議するに当たって、小委員会というのをつくりまして、この法案については、その小委員会の座長が不肖私でございました。小委員会でも何回も何回も議論を重ねて、それを踏まえて部門会議で議論する。その上で、政調にも諮って、そして、ネクスト大臣が集まる閣僚会議といいますか、私どもの会議がございまして、そこには当然、小沢代表以下、党の幹部は全員顔をそろえます。その中で諮って最終的に決定をする、そういう手続をとっています。
 ちなみに、この法案につきましては、三年半前、前々回の参議院選挙に出した農林漁業再生プラン以来のずっと長い議論がございまして、そういう議論を経て、党内で何回も何回もブラッシュアップされて出てきた法案だということでございます。

○江藤委員 なるほど、手続はわかりました。手続はわかりましたけれども、それでも、やはり私は、そこに党首がどの程度コミットしていたのかということについては、私たちは外の人間ですからあずかり知ることはできませんけれども、疑念を持たざるを得ないなというふうに思います。
 では、次の質問をさせていただきます。
 これに関連する問題ですけれども、日豪のFTA、それから日米のFTAに対する民主党さんの考え方、これについて改めてもう一回お尋ねをしたいと思います。いや、ちょっと待ってください。まだです、さらに続きます。
 というのは、どうして私がこういうことをお聞きするかといいますと、平成十八年十二月の七日、これは衆議院で、参議院では十二月の十二日、やはり農林水産委員会でこういう決議がなされました。「重要品目の柔軟性について十分な配慮が得られないときは、政府は交渉の継続について中断も含め厳しい判断をもって臨むこと。」これを全会一致で決議していただきました。私は非常に感謝しています。こうあるべきだと思っています。
 しかし、この後、十九年に入りまして、二〇〇七年になりますと、小沢代表が、こういう決議はまるでなかったかのような発言を繰り返しされるわけでございます。
 この間、近藤先生も御指摘をされましたけれども、二〇〇七年七月一日、二十一世紀臨調で、マニフェスト検証大会、NHKでの放送もありました。小沢党首は、自由トレード、自由貿易協定は私はどこでもやれという主張でありますと明確におっしゃいました。これは電波で流れました。
 そして二〇〇七年十月二十四日、北海道新聞にはこういう記事が載りました。元経団連会長の今井敬氏、今の新日鉄の相談役名誉会長でいらっしゃる方ですけれども、その方が八月に小沢代表と会談した際に、小沢氏は農業の輸入規制は撤廃すべきだと発言したということを明らかにした。そして、これは感想として述べられたことだと私は判断いたしますけれども、その会見の中で、民主党は輸入自由化されても補償すれば問題ないという考え方だという記事が載っております、これは今井さんの意見だと言われればそれまでです。
 さらに私は、小沢党首のホームページ、ウエブサイトをのぞいてみました。ここには、世界の国々とのFTA締結を積極的に推進する、そのためには、それに向けて農業政策を根本的に見直すということを明確に書いてあります。
 これを普通に、政治家でない人、一般に暮らしている人たちが読んで何を感じるかというと、やはり輸入自由化が前提じゃないですか。そして、この間十二日の小里委員の質問に対しても、いわゆる提案者ははっきり、我々はWTO、FTAについては強力に推進する立場をとっておりますということをおっしゃいました。
 ですから、私がここでお聞きしたいのは、この決議というのは、もちろん委員会としては生きていますよ、当たり前の話ですけれども。党の中ではこれは生きているんですか、党の中では。党の全体の、マジョリティーの意見として、ここに出席していただいている民主党の先生方はこのとおり思っていただいていると私は信じています。先生もそうでしょう。だけれども、党全体の総意としては実はそうじゃないんじゃないですか。そのことを、そうじゃないというなら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

○高橋参議院議員 御質問ありがとうございます。
 先ほど、被災者生活再建支援法の話もしていただきました。私はそれの責任者をしておりましたので、交渉をずっとさせていただいて、お互いにいいところは取り入れるということでできまして、ぜひこのこともお考えをいただきたいと思います。
 先ほどFTA、EPAのことについて御質問をいただきました。
 我々は、FTAについては積極的に推進をしていく、そういうことには変わりがありません。しかし、守るべき部分はきっちりと守っていく、日本の農業を守っていくというのは当たり前のことで、先ほど御指摘をいただきましたけれども、何度も平野発議者もずっと答弁をしてまいりましたが、どうも我々は完全輸入自由化推進論者だということを、参議院の方でも御質疑をいただきましたけれども、そういうことをはっきり言って決めつけるようなお話でございますが、我々はそんなことは決して言っておりません。FTAについては積極的に推進をしていきますけれども、農業をやはりきっちり守っていかなければならない。
 その意味で、豪州とのFTA交渉については、昨年の十二月七日に、当時の民主党のネクスト農林水産大臣の篠原さんの方から談話を出させていただいております。そのときにはっきりと、我々は、先ほどお話があったように、もし途中で話がまとまらないようであれば中断もすべきだ、むしろ私たちは、この交渉に入るべきではないというようなことも言いながら、このことについてはきっちりとコメントをさせていただいていることには変わりがございません。
 もし御懸念であれば、その中身、談話を読ませていただきます。
  政府は十二月四日、日本と豪州とのFTA締結交渉に入る方針を固めた。
  日豪政府の共同研究報告書には、日本が交渉で小麦・牛肉など重要品目の関税撤廃の「例外化」を主張できると盛り込まれている。しかし、豪州はこれまで他国とのFTA締結において、関税撤廃の「例外化」を認めたのは、米国の砂糖のみという極めて限定的な例しかない。
  共同研究報告書について政府は、詳細を公表していないが、FTA交渉の過程で本当に関税撤廃の「例外化」が実現できるか、もし交渉が難航すれば本当に「再協議」できるのか、不確実な部分が余りに多い。
  民主党は、FTAの推進を否定するものではないが、豪州との間では、ほとんどの鉱物資源の関税はゼロになっており、工業製品の関税も低率であり、早急なFTA締結の必要性は薄い。なぜ今豪州とのFTAを急がなければならないのかを含めて、現在の日本政府のFTA締結の動きには、なんら戦略性が見えない。
そのほか、ずっと書いてはございますけれども、このように私たちはきっちりと談話を提出させていただいております。

○江藤委員 いや、そういう談話が存在することもわかっていて実は聞いているんですよ、正直申しまして。
 党首というのは大変な存在なんですよ。私は、小沢さんという方はすごい政治家だと思って尊敬していますよ。この間のいわゆる大連立の話、これが頓挫したときも、自分のそういう考え方が受け入れられないのであれば、潔く党首の座を去ると言って宣言をされました、いろいろ皆さん方が御努力をされて無理やり引き戻したような形に結果的にはなりましたけれども。
 党首というのは、党のあるべき姿をわかりやすく体現したものなんですよ。政治家の発言が軽いんじゃないかとか、政治家の言葉というのはそんなに軽いのかという御指摘がいろいろな場面で今なされています。社会でもなされているし、本会議でもなされています、委員会でもなされている。小沢党首は、いつになるかわかりません、遠い将来だと思いますけれども、いつの日にか政権交代を実現したいと夢見る政党の党首でしょう。その党首がおっしゃることがその談話よりも軽いんですか。それはもう答弁は求めません。そんなことは全然おかしいと私は思いますよ。
 それで、ちょっと時間がないので、さらに続けさせていただきます。
 WTO、FTA、いろいろありますけれども、今WTOがまさに佳境に入っていますよね。ファルコナーの修正案も年明けに出てくる、そして二月にはこれは合意されるんじゃないか、そういう厳しい場面になっている。この間の十二日の委員会でもいろいろ御批判もありました。だけれども、現実はどうかというと、我々自民党の農林幹部の先生方は、私費で、自分の費用でたびたびジュネーブやら各国に飛んでいって、政府要人とも会い、日本の立場を主張して、わかってもらう努力を必死にしていますよ、必死にしている。そして、上限関税であるとか重要品目であるとか、こういったものを、日本にとってよりよき解決、よりよき内容にするように努力を今している最中なんですよ。
 その努力の内容の一つとして、アメリカがやっている百五十億ドル、この国内支持、いわゆる補助金に対する批判を今強めています。では、何で友好国であるアメリカを攻めるのか。当たり前の話ですけれども、これはガット・ウルグアイ・ラウンドの話からいえば、二百七十億ドル分の百五十億ドルですから、ルール上は問題ないですよね、今のところは。
 なぜそこを攻めるのか。日本は攻める手がないんですよ、我々の主張を受け入れてもらえるための。だから、あえて百五十億ドルに切り込んでいって、だけれども、それだけではまずい。アメリカのことばかり言って日本はどうしているんだ、そのときにまずいので、日本はガット・ウルグアイ・ラウンドの枠は三兆九千億持っているけれども、六千億しか使っていないけれども、さらにこの黄色の政策を緑に移行する努力を今必死にしているんですよ、日本農業のために、説得力を持たせるために。
 このタイミングで、この委員会の質疑の中で明らかにされましたけれども、ほとんど黄色の政策でしょう。自民党の政策は、黄色の政策は三割だけですよ。ほとんど色が違う。皆さん方が今回出された法律というのは、ほとんど黄色の政策。これはもう答弁の中で認めていらっしゃいますから、異議はないと思います。
 こういうタイミングでこの法案を提出すること自体、WTO交渉の場での日本の立場を非常に難しくする、つまり、国益を損なうんですよ。何でこのタイミングで出してきたのか。
 将来にわたって直接支払いが悪いなんということを言っているんじゃないんですよ。WTOの新しいルールに移行するんだから、そのルールのもとで、遠い将来いつかそういうことがあるかもしれない。そういうことを指摘だけさせていただいて、言いっ放しで申しわけないですけれども、三十分しかないので、次のものにちょっと移らせていただきたいと思います。
 今さら何でそんなことを言うんだとまた怒られるかもしれませんけれども、民主党のこの法案は、規模にかかわらず戸別に所得補償する法案となっているのか。そして、これは通告書にはなかったんですけれども、簡単な内容ですのでつけ加えさせていただくと、このビラに書いてあるように、すべての販売農家がちゃんと対象になっているのか。このことについて、私はぜひお尋ねをさせていただきたいなというふうに思っております。
 なぜこんなことを言うのか。私は、十二月十四日の衆議院本会議でびっくりしたんですよ。さっき私が言った、規模にかかわらず戸別に所得補償する法案というのは、会期延長の反対討論に立った民主党の議員が本会議場で言った言葉をそのまま言ったんです。規模にかかわらずということになれば、すべての農家ですよね。そうでしょう、すべてですよね、農業をやっている人はすべて。
 ところが、参議院の議事録を私ちょっとひもといてみました。十一月一日、もちろん質疑もお答えされたのは平野さんですけれども、この中で、まず十アール以上だと統計上の数値を持ち出されましたよね。中山間地域というのは、十アール以下の農家というのはいっぱいあるんですよ。私の田舎には、十アール農地を持っていない農民というのはいっぱいおる。では、皆さん方は、この人たちは農家と認めませんか。認めるでしょう。認めるじゃないですか。(発言する者あり)まあ、黙って聞いてください。
 さらに言えば、いろいろな能書き、いろいろありますよ。試算であるとか、仮にであるとか、いろいろな言葉を駆使されていらっしゃいますけれども、結論的にたどり着いた数字が、全農家数が二百八十五万戸でありますが、マキシマムで対象になるのは百七十二万戸ぐらいが一応対象となるんだということをはっきり十一月一日におっしゃっています。ということになると、販売農家であればすべて対象になるんだというふうに思っていたのに、百十三万戸抜け落ちてしまっているじゃないですか。
 ここら辺のところで、本当にこの法案が、皆さん方が地元に帰って、参議院選挙のときに訴えられてきた内容、これとちゃんと合っているものなのかどうか、こういうことをもう一度改めてお尋ねしたいと思います。

○平野参議院議員 まず、この法案の対象となる農家でございますが、その対象農家は作物をつくる農家であるというのは言うまでもない話でありまして、その作物についてどのような条件を設定しているか。これは、標準的な生産費と標準的な販売価格の差を基本とした一定の補てんをするんだという考え方に立っています。ですから、その生産費と市場価格の差が逆転していないような作物をつくっておられる農家及びその農地については対象にならない、そういう考え方でありまして、そういった考え方等々からいきますと、販売農家についてはある程度の限定が加わっているというのは事実でございます。
 こういった補てんをやるにつきましては、その目的、それから考え方、設定基準ですね、一定の考え方を設定するというのは、これは普通のやり方でございます。そして、今、地元の方でいろいろ説明しているかという御質問がございましたけれども、私どもは、各地域地域において、あるいは自分の選挙区において、この法案の考え方についてはきちっと説明をしておるということです。
 それから、小規模農家云々という話がございますけれども、農家の規模にある一定の設定基準を設定して、選別政策的な考え方をとるということについては、私どもは反対だということはかねがね申し上げてまいりました。特定の経営体を育成するのではない、特定の経営体に農業経営をゆだねるのではない、地域として意欲のある農家が一体となって農業を守っていく、農業を形成する、農地を守っていく、地域農業を振興する、これが我々の考え方であるということは、今回も繰り返し述べさせていただきたいと思います。

○江藤委員 それは、私は違うと思いますよ、根本的に。
 品目横断について党内でも確かに議論はありました。私も、補強すべき点もある、強化すべき点もある、つけ加えなきゃならないこともある、随分激しい意見を党内で言ってきました。
 品目横断、集落営農、これを非常に皆さん方は悪いとおっしゃいますけれども、違うんですよ。集落営農であれば……(発言する者あり)まあ、聞いてください。品目横断などの集落営農組織であれば、十アール以下の農家もちゃんと救えるんですよ。どんなに小さな面積の田畑しか持っていない人であっても、集落営農に農地を委託するであるとか作業を委託するであるとか、そういうことをすれば、すべての農家を救えるわけです。
 さっき、何かそちらの方では自民党案じゃないかと。そうじゃないですよ、全然違いますよ、そうじゃないんですよ。だけれども、皆さん方の案だと、十アールで切ってしまうと、本当に、小さいけれども、猫の額ほどの面積しか持っていないけれども、一生懸命先祖伝来の田畑を守ってきた、そういう田畑を守ってきたような人たちも守れる法案になっているんだということは、これはわかってくださいよ。理解できませんか。答弁は求めません。答弁は求めませんが、御理解をいただきたいと思います。
 それで、さらに続けて言わせていただきますと、仮にというお話を答弁の中で平野先生がよく使われますけれども、私も、今回はその仮にという言葉を使わせていただきたいと思います。
 仮に、この法案が本委員会を通過して、本会議で成立をして、そしてこれが実行に移された場合、十年先、二十年先、三十年先のいわゆる農家の姿、特に中山間地域、条件不利地域、そういう集落の農家の姿というのは、どういう姿をイメージしていらっしゃいますか。

○平野参議院議員 まず、今の委員の御質問の中に、民主党は集落営農が悪いんだとか、そういう前提でしゃべっているという御指摘がございましたけれども、そうではないのでありまして、このことは何回も何回も国会で答弁をさせていただきましたけれども、私どもは、農地流動化も集落営農も否定しません。何が問題かといいますと、一定の要件を設定して、この経営体をつくれといったことが問題だと言っておるんです。
 そして、今の委員の御質問の中に、我々の法案が制定されれば、実行されれば、十年後、二十年後、三十年後、どういう経営体ができるか、農業になるか、そういう御質問がございました。
 まず、前提条件としては、これも私は何回も申し上げてきましたけれども、農村、今委員も特に言われましたけれども、特にも中山間地域の農山村は、今までにない大変大きな変化に今直面をしている、そういう現状認識があります。過疎化という言葉ではもう適切ではない。だから、限界集落ということができました。急激な人口減少が始まっていますし、そして農業従事者も減っていく、農家の高齢化も、これから後期高齢者と言われる方々が主体になっていかざるを得ない、そういう状況です。
 その中で、米については、生産費の中の経営費、いわゆる苗代、肥料代、こういったものも割るぐらいの状況の中で、高齢者の方々が、まさに委員がおっしゃられました、小さな面積でも米づくりをやっている。何でそういう米づくりをやっていくか、自分がやめたら農地の受け手がいないからです。なぜ受け手がいないか、米価がこんな下がってくるような中ではだれも規模拡大をしません。だから、このままほっておきましたら、中山間地域の農業というのはどんどん崩壊していく。
 では、どうするか。そこで四ヘクタールつくれと言ったってできない。集落営農で十ヘクタール、二十ヘクタール、何ぼでもいいですよ、五ヘクタールでもいいですよ。経理の一元化をしろとか、難しい理屈であんな設定基準を設定されて、集落営農をつくったってできない。だから、私どもは、まずは意欲のある農家が全部参加して、地域の農業、農業の経営はどうあるべきか知恵を出してもらおうじゃないか。その中で、緩い生産組織ができるかもしれない、すばらしい集落営農ができるかもしれない。
 特にも、これからは農地流動化は不可避ですから、利用権設定をしようと思ったら、将来的には、これは個人か法人しかできませんから、個人がだめになれば生産法人にするしかないんです。だけれども、それは長期的な課題なんです。それをいきなり、集落営農、四ヘクタール以上の個人か生産法人でなければだめだと、これがだめだと言っているんです。
 こういったことをやりながら、まずは今この厳しい状況を乗り切っていく。その先に何があるか。多分流動化が進むかもしれません、集落営農ができるかもしれません。そういう中で地域農業、農山村が守られていく、これが一番ふさわしい姿じゃないかということが私どもが考えていることでありまして、そして、その先に、大きな農家ができるかもしれませんし、小さな農家がみんな頑張ってやるかもしれない。
 そして、これは特にも筒井ネクスト大臣が非常にこだわっている言葉ですけれども、六次産業化ということで……(江藤委員「どういう構想、姿をイメージしているかという質問ですよ」と呼ぶ)ですから、今言っています。自分たちのものをつくるだけじゃなくて、そこに付加価値をつけて販売するような仕組みをつくっていくとか、そういった産業の六次産業化、一次産業、二次産業、三次産業の、こういったものを複合化したような産業が興っていくかもしれませんし、あるいは、場合によっては大規模農家ができていくかもしれませんし、いろいろな経営体があっていいじゃないでしょうか。それは地域地域によって違うということで、それでよろしいのではないかというふうに思っております。

○江藤委員 長々と御説明いただいてありがとうございます。しかし、さっぱりわかりませんでした。本当に、私の理解力がなかったらお許しをいただきたいと思います。
 しかし、あしたには、いろいろと補正予算も上がってくるんですよ。さっきもちょっと言いましたけれども、この品目横断的経営安定対策事業、これを補完しようということで我々は一生懸命努力してきました。あした数字が出るので、この委員会の日にちがずれれば、もうちょっとよかったんですけれども、あしたには、いい内容の見直しもできる、予算の裏づけのある内容をきちっと有権者の方々に御説明ができる態勢に私たちは入ります。難しい条件につきましても、どんどん見直していきます。
 例えば、知事特認なんというのがありましたけれども、やはり知事じゃだめなんですよ。県庁というのは遠いんですよ、高速道路がないので、私の選挙区から県庁まで三時間かかりますから。そういうことではだめなので、市町村特認、これに食い込んでいこう。町村長だったら農家の一人一人の顔がわかるんですよ、どこのばあちゃんが何をつくっておるとか。水田協議会の人たちの意見も十分に取り入れて、その人たちが十分に担い手として認められるということであれば、そういう人たちも認めなければならないということで見直していくんですよ。そういうことをやっているということをちゃんとわかっていただきたい。
 全農家にまず参加をしていただいてということを言いましたけれども、全農家参加できないじゃないですか。さっきも御指摘されましたように、限定を設けなきゃいけないのはしようがない、品目とかがあるわけだから。おまけにお金の話もあるわけでしょう、品目を限定するわけだから。限定するということをおっしゃったじゃないですか。すべての農家じゃないじゃないですか。これを私は指摘しておきたいと思います。
 平野先生、どうやって、今まであの厳しい農村とか、今確かに厳しい状況ですけれども、今日まで何とか持ちこたえてきた、どうしてだと思いますか。
 集落、特に中山間地域の農家には、一体感があるんですよ。苦しみも悲しみも喜びも、すべてみんなで味わう。そういうものがあったからこそ、あの厳しい状況の中で集落は守られてきたんですよ。交通も不便ですよ。おかずなんかも分け合うわけですよ、みそ、しょうゆなんかも分け合うわけですよ。それで守られてきたわけですよ。一体感を失わせるような政策というのは絶対だめですよ。
 なぜかといいますと……(発言する者あり)ちゃんと聞いてください。なぜかといいますと、直接支払いに移行した場合、例えば、もうさっき明らかになりましたように、漏れる農家がいっぱい出てきます。小さい集落の中で、江藤拓君は何十万かもらえました。でも伊藤君はもらえません、小里君ももらえませんということになると、これでは今まで培ってきた一体感が崩れてしまうんです、一体感が。(発言する者あり)違いますよ、直接支払いの話をしているんです。そういうことではどうにもならないんですよ。
 そして、生産費と販売価格の差を埋める、そういう政策を述べていらっしゃいますけれども、それでもやはりだめなんですよ。
 私は、農家の青年たちといろいろな議論をしてきました。彼らがどうして農業をやっているか。もちろん、子供を養わなきゃいけない、学校にも行かせたい、飯も食わにゃいかん、仕事としてやっている、それもあるでしょう。だけれども、もっと大きな意義をそこに見つけて農業をやっているんですよ。
 例えば、牛を養っている農家だったら、肛門に指をぐっと突っ込んで、それをぺろっとなめて、きょうは牛が元気がいいというふうに判断する人もいます。そして、田んぼや畑に有機肥料、いろいろなものをすき込んで、その後、土を食べて、おお、いい土ができたと言ってそのことを喜ぶ農家もいますよ。
 そういう人たちが、販売価格と生産費の差額だけを埋めてもらったらやるか、そうじゃないんですよ。彼らがこういう心配をしていました。補てんをするとき、標準的な価格を決めるという話になってくると、今まで農山村の人たちは、まじめに、いいものをつくろう、喜んでもらおう、よりよき製品をつくって、そして消費者の方々に喜んでもらおうという気持ちでやってきたけれども、これからはとにかく植えときゃいいんじゃないかと。農家の人たちはまじめですから、もちろんそういうことをする人はいないと私は信じますよ。だけれども、そういうことが起こることを、私が心配しているんじゃなくて、農業後継者の若い人たちが実は心配しているんですよ。そういうことなんですよ。(発言する者あり)品目横断じゃないですよ。
 そういうことに移行してしまう政策だ、そういう法案だということを私は強く指摘したいと思いますが、反論があればどうぞ、もう、ちょっとしか時間がありませんが。

○平野参議院議員 一々反論いたしませんけれども、少なくとも、今言われたことは、全部品目横断に当てはまっていると思います。

○江藤委員 いや、もうこれは水かけ論ですから、もう質疑時間が終わりましたから終わりますけれども、少なくともここにあるビラ、三十分の時間しかありませんでしたけれども、ここに書いてあることは、法案の内容とはやはり随分違いますよ。
 私は、最後に、平野先生にお願いがあります。
 ぜひ、まず民主党がやるべきこと。ここで質疑することも大切ですけれども、民主党内の、民主党所属の国会議員に、まずこの法案の内容をきちっと周知徹底してください。これで、年末になって、皆さん方が地元に帰って、またこれと同じようなことを言ってしまったら、恥をかくのは民主党所属の議員ですよ。
 そして、民主党議員がそういうことを言ったら、民主党所属の県会議員も市会議員も町会議員も、みんな同じように間違いを犯して、いずれかのタイミングで、ごめんなさいと謝らなければならないことになる。余計なお世話だと言われるでしょうけれども、そういうことをまずすべきだということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。


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